インフルエンザ

インフルエンザの症状・かぜとの違い・検査と治療・予防法まで、医師の視点から分かりやすく解説。抗ウイルス薬は発症48時間以内が効果的で、秋のワクチン接種が重症化予防の鍵です。
十条駅ハル内科・皮膚科クリニック|インフルエンザ

毎年冬になると流行するインフルエンザ。「ただのかぜでしょ」と軽く考えられがちですが、突然の高熱や強い倦怠感をともない、持病のある方や高齢者では肺炎や脳症といった重症化のリスクもある感染症です。

このコラムでは、インフルエンザの症状・かぜとの違い・検査と治療・予防法まで、医師の視点から分かりやすく解説します。

この記事のポイント

インフルエンザは「突然の38〜40℃の高熱・強い全身倦怠感」が特徴で、抗ウイルス薬は発症48時間以内の開始が効果的。毎年秋のワクチン接種が重症化予防の鍵になります。

インフルエンザとは

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症です。日本では毎年11〜3月頃に流行し、年によっては数百万人規模の患者が発生します。

かぜとの違い

「かぜ(普通感冒)」と混同されがちですが、原因となるウイルスも症状の出方も明確に異なります。

項目 かぜ インフルエンザ
発症 徐々に 突然(数時間で急激)
発熱 微熱〜38℃程度 38〜40℃の高熱
全身症状 軽め 強い倦怠感・筋肉痛・関節痛
鼻・のど症状 中心的症状 全身症状より軽い
治療薬 対症療法が中心 抗ウイルス薬が有効
流行時期 通年 主に冬(11〜3月)

インフルエンザの型(A型・B型・C型)

ヒトに感染するインフルエンザは主にA型・B型・C型の3種類。流行の中心はA型とB型です。

  • A型:もっとも流行しやすく、変異も多い。重症化リスクが高い傾向
  • B型:A型よりやや軽症だが、消化器症状が出やすい
  • C型:症状が軽く、ほとんどかぜと区別がつかない

インフルエンザの主な症状

インフルエンザの典型症状は、急激に始まる高熱と全身のだるさです。以下の症状が突然出たら、インフルエンザを強く疑います。

  • 突然の38〜40℃の高熱
  • 強い全身倦怠感・筋肉痛・関節痛
  • 頭痛・悪寒・食欲不振
  • のどの痛み・咳・鼻水
  • 悪心・嘔吐・下痢(B型で出やすい)

子どもでは熱性けいれんや脳症のリスクも

小児では熱性けいれん、まれにインフルエンザ脳症を起こすことがあります。意識がもうろうとする、けいれん、意味不明な発言が続くなどの症状が出たら、迷わず救急受診してください。

こんなときは早急に受診を

呼吸が苦しい/意識がぼんやりしている/水分がまったく取れない/40℃を超える高熱/持病のある方、高齢者、妊婦、小児の発熱は早めに医療機関へ。

インフルエンザの検査

迅速抗原検査

鼻や咽頭の粘液を綿棒で採取し、A型・B型を判別する検査です。結果は 約15分 で判明します。

検査のベストタイミング

インフルエンザは発症からの時間で検査精度が変わります。

発症からの時間 検査精度
〜6時間 ウイルス量が少なく偽陰性になりやすい
12〜24時間 もっとも精度が高いタイミング
24〜48時間 検査可能、抗ウイルス薬も有効
48時間以降 検査はできるが、抗ウイルス薬の効果は低下

ワンポイント

症状が出てすぐの受診は偽陰性のリスクがあります。症状が強い場合は発症から半日〜1日後の受診、もしくはその日のうちに受診しても翌日再検査となる場合があります。

コロナとの同時検査

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行期には、1回の検査で両方を調べる「コロナ・インフル同時検査」も可能です。症状が似ているため、早期に鑑別することが重要です。

インフルエンザの治療

抗ウイルス薬

発症から 48時間以内 の服用開始でもっとも効果が期待できます。主な薬剤は以下の4種類です。

薬剤名 剤形 特徴
タミフル カプセル・ドライシロップ 1日2回×5日。小児・妊婦でも使用可
イナビル 吸入 1回吸入するだけで治療完了
リレンザ 吸入 1日2回×5日吸入。喘息患者は注意
ゾフルーザ 錠剤 1回服用のみで治療完了。耐性菌出現のリスクあり

対症療法

発熱・筋肉痛・頭痛には解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン等)を処方します。15歳未満の小児にはアスピリン(バファリン)は使用しません(ライ症候群のリスクがあるため)。

自宅療養のポイント

  • 十分な水分補給(水・経口補水液・スポーツドリンク)
  • 安静と睡眠の確保
  • 室温20〜22℃、湿度50〜60%を保つ
  • 消化の良い食事(おかゆ・うどん・スープ)

インフルエンザの予防

ワクチン接種

インフルエンザの最大の予防策はワクチン接種です。効果は 接種から約2週間後 に現れ、約5ヶ月間持続します。

  • 接種時期:毎年10〜11月が目安(流行ピーク前)
  • 効果:発症予防効果に加え、重症化・入院・死亡リスクを大きく軽減
  • 対象:生後6ヶ月以上のすべての方(特に高齢者・基礎疾患者・妊婦・小児)

ワクチンの効果と限界

ワクチン接種で発症が100%防げるわけではありませんが、重症化を予防する効果が科学的に確認されています。毎年型が変わるため、毎シーズンの接種が必要です。

日常の感染対策

  • こまめな手洗い・手指消毒
  • 咳エチケット(マスク着用)
  • 人混みを避ける
  • 適切な湿度管理(乾燥するとウイルスが活性化)
  • 十分な睡眠と栄養で免疫力を維持

受診の目安

すぐに受診すべき症状

  • 38℃以上の高熱が突然出た
  • 強い全身倦怠感・関節痛・筋肉痛
  • 周囲でインフルエンザが流行している中での発熱
  • 持病があり、重症化リスクが高い

救急受診が必要な症状

以下の症状が出たら救急受診を

呼吸困難/意識がもうろうとする/けいれん/意味不明な発言/40℃を超える高熱が下がらない/水分がまったく取れない

学校・職場の出席停止期間

学校保健安全法により、インフルエンザと診断された場合は以下の期間、出席停止となります。

対象 出席停止期間
幼児 発症後5日を経過し、かつ解熱後3日を経過するまで
小・中・高校生 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで
大人(職場) 法的な規定はないが、解熱後2日以上の自宅療養を推奨

よくあるご質問

インフルエンザワクチンは毎年打つ必要がありますか?

はい。流行するウイルスの型が毎年変わるためワクチンの組成も毎年調整されており、効果持続期間も約5ヶ月と限定的なため、毎シーズンの接種が推奨されます。

ワクチンを打ってもインフルエンザにかかることはありますか?

あります。ワクチンは発症予防効果が60〜70%程度で完全予防ではありません。ただし、接種していると重症化リスクが大きく下がります。

インフルエンザと診断されたら家族も受診した方がいいですか?

濃厚接触した家族が発熱・倦怠感などの症状を訴えた場合は受診をお勧めします。症状がなければ急いで受診する必要はありませんが、手洗い・マスクなどの感染対策を徹底してください。

解熱したら外出してもいいですか?

解熱しても体内にはまだウイルスが残っており、他人への感染リスクがあります。学校保健安全法で定められた「発症後5日+解熱後2日(幼児は3日)」の期間は自宅で療養してください。

妊娠中でもワクチンを接種できますか?

接種可能です。妊娠中のインフルエンザは重症化しやすく、ワクチン接種が強く推奨されています。抗ウイルス薬(タミフル)も必要に応じて処方できます。

まとめ

インフルエンザは「突然の高熱」と「強い全身症状」が特徴の感染症です。早期の検査・治療で重症化を防げるため、症状が出たら無理せず受診しましょう。

  • 発症から12〜48時間以内の検査・治療開始がベスト
  • 抗ウイルス薬は発症48時間以内なら効果的
  • 毎年10〜11月のワクチン接種が予防の基本
  • 学校・職場は「発症後5日+解熱後2日」の休養を

当院ではインフル・コロナの同時検査、抗ウイルス薬の処方、点滴まで対応しています。発熱でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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