帯状疱疹とは
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)ウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症する病気です。日本人の約3人に1人が生涯で一度は発症し、80歳までに約3人に1人が経験するといわれています。
特徴は体の片側だけに、神経の走行に沿って帯状に現れる痛みと発疹。放置すると長引く神経痛(帯状疱疹後神経痛・PHN)に進行することがあり、発疹出現から72時間以内の治療開始が極めて重要です。
早期受診が最大の予防
「ピリピリする痛み」だけの段階でも構いません。発疹が出始めたら遅くとも72時間以内に受診してください。治療開始が早いほど後遺症のリスクを大幅に減らせます。

帯状疱疹の症状と経過
典型的な経過
| 時期 | 症状 |
|---|---|
| 前駆期(数日〜1週間前) | ピリピリ・チクチクする痛み、違和感、かゆみ(発疹はまだなし) |
| 急性期(発疹出現〜1週間) | 赤み→水疱→膿疱、痛みが強くなる |
| 痂皮化期(1〜2週間) | 水疱が破れてかさぶたになる |
| 治癒期(2〜4週間) | かさぶたが剥がれ、色素沈着や瘢痕が残ることも |
| PHN移行期(1か月以降) | 発疹が治った後も痛みが続く(帯状疱疹後神経痛) |
発疹の特徴
- 体の片側のみに出現(正中線を越えない)
- 神経の走行に沿って帯状に分布
- 胸部・腹部・背中・顔面・首が好発部位
- 赤い斑点 → 小水疱 → 膿疱 → かさぶた と変化
- 水疱は多数の集まりが帯状に連なる
痛みの特徴
- ピリピリ・ズキズキ・焼けるような痛み
- 衣服が触れるだけで痛む(アロディニア)
- 夜間に強くなることが多い
- 高齢者ほど強く、長引く傾向
発症のきっかけ(免疫低下要因)
- 加齢(特に50歳以降)
- 強いストレス・過労
- 睡眠不足
- 他の病気(インフルエンザ・がん・手術後)
- 免疫抑制剤・ステロイド・抗がん剤の使用
- 糖尿病などの慢性疾患
- HIV感染などの免疫不全状態
- 過度なダイエット・栄養不良
見逃してはいけない重症例
以下の症状がある場合は緊急性が高い
これらの部位・症状では視力障害・難聴・麻痺など重篤な後遺症のリスクがあります。即日の受診をお勧めします。
- 目の周囲・鼻先の発疹(眼部帯状疱疹、視力障害のリスク)
- 耳の中・顔面の発疹(ラムゼイ・ハント症候群、顔面麻痺・難聴)
- 発疹が広範囲・両側性(播種性帯状疱疹、免疫不全を疑う)
- 高熱・激しい頭痛を伴う(髄膜炎・脳炎の合併)
- 排尿・排便困難を伴う(仙骨神経関与)
- 呼吸困難・意識障害
治療の原則
抗ウイルス薬(72時間以内の開始が重要)
抗ウイルス薬はウイルス増殖を抑え、治癒を早め、痛みの程度と期間を減らし、PHNを予防します。
| 薬剤 | 服用回数 | 特徴 |
|---|---|---|
| バラシクロビル(バルトレックス) | 1日3回×7日 | 最も一般的、腎機能に応じて調整 |
| ファムシクロビル(ファムビル) | 1日3回×7日 | バラシクロビルと同等の効果 |
| アメナメビル(アメナリーフ) | 1日1回×7日 | 腎機能による調整不要、相互作用少ない |
| アシクロビル点滴 | 1日3回点滴×7日 | 重症例・内服困難時、入院治療 |
痛みのコントロール
| 重症度 | 対応 |
|---|---|
| 軽度 | アセトアミノフェン・NSAIDs |
| 中等度 | NSAIDs + プレガバリン(リリカ)・ミロガバリン(タリージェ) |
| 強度 | 弱オピオイド(トラマドール)・三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)併用 |
| 難治性 | 神経ブロック(ペインクリニック紹介) |
外用療法
- ビダラビン軟膏:水疱の治癒促進
- 抗菌外用薬:二次感染予防
- 保護ドレッシング:破れた水疱の保護
帯状疱疹後神経痛(PHN)について
3か月以上続く痛みをPHNと呼ぶ
発疹が治った後も続く神経痛で、50歳以上では約20%、80歳以上では約30%に起こるといわれています。痛みは数か月〜数年続くこともあり、生活の質を大きく下げるため、早期治療が何より重要です。
PHNの予防と治療
- 予防:急性期からの十分な抗ウイルス薬+早期からの神経障害性疼痛薬の使用
- 薬物治療:プレガバリン・ミロガバリン・三環系抗うつ薬・SNRI(デュロキセチン)
- 外用:リドカイン貼付薬(ノリトレン)、カプサイシン外用
- 神経ブロック:難治例ではペインクリニック紹介
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹はワクチンで予防できる病気です。50歳以上が推奨対象で、発症予防だけでなく、発症してもPHNを減らす効果があります。
| ワクチン | 種類 | 回数 | 発症予防率 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| シングリックス | 不活化(組換えサブユニット) | 2回(2〜6か月間隔) | 約97%(50代)/88%(70代) | 1回約22,000円×2 |
| 弱毒生ワクチン(ビケン等) | 生ワクチン | 1回 | 約50〜70% | 約8,000円 |
※ 自治体によっては50歳以上への接種助成がある場合があります。お住まいの自治体の助成制度をご確認ください。
シングリックスが特に推奨される方
- 50歳以上の方(特に60歳以上)
- 過去に帯状疱疹にかかった方(再発予防)
- 免疫抑制剤を使用している方
- 持病(糖尿病・慢性腎不全等)がある方
人への感染について
帯状疱疹そのものは他人にうつらないが、ウイルスは伝播する
帯状疱疹が他人に「帯状疱疹として」うつることはありません。しかし、水ぼうそうにかかったことがない人(特に小児・妊婦)には水ぼうそうとして感染する可能性があります。水疱部位を清潔なガーゼで覆い、接触を避けてください。かさぶたになれば感染性はなくなります。
日常生活での注意
スキンケア・衛生
- 患部を清潔に保つ(石けんで優しく洗う)
- ぬるめのお湯での入浴はOK(熱すぎるお湯・長湯は避ける)
- 水疱を潰さない・引っかかない
- タオルは専用にして家族と分ける
- 衣服は柔らかく刺激の少ないものを
療養・休息
- 十分な睡眠と栄養(免疫回復のため)
- アルコールを控える
- 無理せず仕事・家事はペースダウン
- 痛みで眠れないときは医師に相談
当院の帯状疱疹診療の特徴
- 発疹出現後すぐに診察・抗ウイルス薬処方が可能(予約なし当日OK)
- アメナメビル(1日1回)など服用しやすい抗ウイルス薬に対応
- プレガバリン・ミロガバリン等の神経障害性疼痛薬でPHN予防
- 眼部・顔面・耳部など重症例は眼科・耳鼻科へ速やかに紹介
- 難治性の痛みはペインクリニックへの紹介体制
- シングリックス・生ワクチンの予防接種に対応
- 予約なし・当日受診OK/毎日9〜21時診療/十条駅徒歩1分
ピリピリ感を感じたらすぐご相談を
「ただの神経痛かも」「疲れているだけかも」と思っても、帯状疱疹の可能性があります。発疹が出る前でも、怪しいと感じたら受診してください。早期治療が後遺症を防ぐ鍵です。





