腰痛について
腰痛は日本人の約85%が生涯に一度は経験する、最もありふれた症状です。原因は多岐にわたり、筋肉の疲労・姿勢不良から、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・内臓疾患・がんの骨転移まで幅広くあります。
腰痛の多くは数週間以内に自然軽快する非特異的腰痛ですが、一部には早期治療が必要な重篤疾患が隠れているため、レッドフラッグ(危険信号)の見極めが重要です。
当院の役割
内科として内臓由来の腰痛を見落とさないことに重点を置き、一般的な腰痛の保存療法を行います。MRI・神経症状の精査・手術適応評価は整形外科・脳神経外科へご紹介します。

腰痛は何科を受診すればいい?
腰痛の多くは整形外科が専門ですが、発熱を伴う・安静時や夜間に強い・尿の異常があるなど、内臓が原因のこともあり内科が適する場合もあります。当院は内科として、感染・腫瘍・内臓疾患など見逃してはいけない原因を血液・尿・レントゲンで評価し、一般的な腰痛の保存療法を行います。MRIや神経症状の精査・手術評価が必要な場合は、整形外科・脳神経外科へご紹介します。
腰痛の分類
急性・慢性による分類
| 分類 | 期間 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 急性腰痛 | 4週間以内 | ぎっくり腰・筋膜性腰痛・椎間板ヘルニア急性期 |
| 亜急性腰痛 | 4〜12週間 | 治療の遅れ・繰り返す負荷 |
| 慢性腰痛 | 12週間以上 | 脊柱管狭窄・変形性脊椎症・心因性 |
原因による分類
| 分類 | 疾患例 |
|---|---|
| 筋・筋膜性 | 筋筋膜性腰痛・ぎっくり腰(腰椎捻挫) |
| 椎間板性 | 椎間板ヘルニア・変性椎間板 |
| 脊椎変性 | 変形性脊椎症・脊柱管狭窄症・脊椎分離症 |
| 炎症性 | 強直性脊椎炎・リウマチ性多発筋痛症 |
| 骨粗しょう症性 | 椎体圧迫骨折(高齢者) |
| 内臓由来 | 尿路結石・腎盂腎炎・膵炎・大動脈解離・婦人科疾患 |
| 腫瘍 | 骨転移・多発性骨髄腫・脊椎腫瘍 |
| 感染症 | 化膿性脊椎炎・結核性脊椎炎 |
| 心因性 | ストレス・うつ・慢性疼痛症候群 |
レッドフラッグ(危険信号)
以下の症状を伴う腰痛は重大疾患の可能性
早期の診断・治療が必要なため、速やかに医療機関を受診してください。
- 発熱を伴う腰痛(感染性脊椎炎)
- がんの既往または体重減少を伴う
- 50歳以上で初発の腰痛
- 安静時・夜間に悪化する痛み
- 馬尾症候群を疑う症状:会陰部のしびれ・排尿排便障害・両下肢の脱力
- 外傷後の強い腰痛(骨折疑い)
- ステロイド長期服用・骨粗しょう症の既往
- 急な麻痺・歩行困難
- 急激に悪化する痛み
- 拍動する腹部痛を伴う(大動脈解離・腹部大動脈瘤)
主な腰痛疾患の特徴
ぎっくり腰(急性腰痛症)
- 重い物を持った瞬間・前屈位で急性発症
- 腰椎周囲の筋・靱帯の損傷
- 数日〜2週間で改善することが多い
- 急性期は冷却、その後は温熱
椎間板ヘルニア
- 椎間板の一部が突出し神経を圧迫
- 腰痛+片側の下肢痛・しびれ(坐骨神経痛)
- 前屈・咳・くしゃみで悪化
- 多くは保存療法で3か月以内に軽快
- 重度の神経症状では手術も検討
脊柱管狭窄症
- 中高年に多い。脊柱管が狭くなり神経を圧迫
- 間欠性跛行:歩くと足がしびれ・痛み、休むと改善
- 前屈姿勢で楽になる(自転車は比較的楽)
- 後屈で悪化
- 保存療法・ブロック注射、重症例は手術
椎体圧迫骨折
- 高齢者・骨粗しょう症に多い
- 軽微な外傷(くしゃみ・尻餅)でも発症
- 寝返り・起き上がりで強い痛み
- X線で診断、MRIで新旧を判定
- 骨粗しょう症の治療が重要
内臓由来の腰痛を見逃さない
以下の疾患は内科・泌尿器・婦人科の領域ですが、腰痛として現れることがあります。
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| 尿路結石 | 激痛・血尿・吐き気(腎仙痛) |
| 腎盂腎炎 | 発熱・排尿時痛・腰背部の叩打痛 |
| 急性膵炎 | 上腹部痛の背部への放散・嘔吐 |
| 腹部大動脈瘤・解離 | 拍動性の激痛、緊急 |
| 子宮内膜症・子宮筋腫 | 女性で月経周期に連動 |
| 卵巣嚢腫茎捻転 | 突然の下腹部〜腰痛・嘔吐 |
| 胆石・胆嚢炎 | 右上腹部〜右背部の痛み |
診察・検査
問診のポイント
- 発症時期・きっかけ・発症様式
- 痛みの性質・部位・放散の有無
- 増悪因子(前屈・後屈・咳・荷重)
- 下肢の症状(しびれ・脱力・放散痛)
- 排尿排便障害
- 全身症状(発熱・体重減少)
- 既往歴・服薬
当院でできる検査
| 検査 | 目的 |
|---|---|
| 血液検査(CRP・血算・LDH) | 炎症・感染・腫瘍の評価 |
| 尿検査 | 尿路結石・腎盂腎炎 |
| レントゲン(脊椎・胸部) | 椎体圧迫骨折・変形 |
| 腹部超音波(必要時) | 内臓疾患の除外 |
| リウマチ関連マーカー | 炎症性脊椎疾患 |
整形外科・専門医への紹介が必要なケース
- MRI・CTによる精査が必要
- 神経症状が強い(坐骨神経痛・脱力)
- 馬尾症候群の疑い(緊急)
- 脊椎手術の適応評価
- ブロック注射・専門的リハビリ
- 内臓疾患が疑われる場合は該当科へ
治療の選択肢
薬物療法
| 分類 | 使用場面 |
|---|---|
| 消炎鎮痛薬(NSAIDs) | 急性〜亜急性腰痛(胃・腎への配慮) |
| アセトアミノフェン | NSAIDsが使いにくい場合 |
| 筋弛緩薬 | 筋緊張が強い腰痛 |
| 神経障害性疼痛薬 | しびれ・坐骨神経痛 |
| 弱オピオイド | 医師が必要と判断した強い痛み |
| 漢方薬 | 慢性腰痛・高齢者 |
| 外用薬(湿布・ゲル) | 局所の鎮痛 |
具体的なお薬は、症状や体質・持病に合わせて診察のうえで選びます。
非薬物療法
- 適度な運動療法(歩行・水中運動)
- ストレッチ・体幹の筋力強化
- 温熱療法(慢性期)・冷却(急性期)
- コルセット(急性期の短期使用)
- 姿勢の改善・人間工学的な工夫
- 整形外科でのブロック注射・リハビリ
ぎっくり腰(急性腰痛)の対処
発症直後(急性期 48〜72時間)
- 楽な姿勢で安静(横向きで膝を曲げると楽なことが多い)
- 冷却(氷嚢を15分×数回/日)
- NSAIDsの内服・外用
- コルセットで一時的にサポート
- 長期の絶対安静は逆効果(2日以内に動き始める)
亜急性期(3日〜2週間)
- 徐々に通常の動作に戻す
- 温熱療法に切り替え
- 軽いストレッチ・歩行
- 重いものを持たない、中腰の動作を避ける
- 痛みが続く場合は整形外科を受診
「絶対安静」は避ける
昔は1週間寝て治すといわれましたが、現在は長期の安静はかえって回復を遅らせることがわかっています。痛みの範囲内で早期に動き始めるのが回復を早めるコツです。
慢性腰痛のセルフケア
運動
- ウォーキング30分/日(歩行は腰痛に効果的)
- 水中歩行・水泳(腰への負担が少ない)
- 体幹トレーニング(プランク・バードドッグ)
- ストレッチ(ハムストリング・大腿四頭筋・殿筋)
- 無理のない範囲で継続
生活習慣
- 適正体重の維持(肥満は腰への負担大)
- 禁煙(椎間板への血流改善)
- 質の良い睡眠・寝具の見直し
- ストレス管理(慢性疼痛の悪化因子)
- 重量物の正しい持ち方(膝を曲げる)
- デスクワーク時の姿勢(1時間ごとに立つ)
腰痛予防のポイント
- 重い物を持つときは膝を曲げて腰を落とす
- 物を持ったまま体をひねらない
- 長時間の同一姿勢を避ける
- 正しい姿勢の習慣化(骨盤を立てる)
- 体幹筋の定期的な鍛錬
- ハムストリングの柔軟性維持
- 骨粗しょう症の予防・治療
- ストレスマネジメント
当院の腰痛診療の特徴
- 内科として内臓由来・感染・腫瘍を見落とさない評価
- 血液検査・尿検査・レントゲンに対応
- 消炎鎮痛薬・筋弛緩薬・神経障害性疼痛薬・漢方薬を症状に合わせて処方
- ストレッチ・体操・姿勢改善の指導
- 骨粗しょう症の評価と治療
- MRI・ブロック注射・手術適応は整形外科・脳神経外科へ紹介
- 馬尾症候群・大動脈解離など緊急疾患は速やかに紹介
- 予約なし・当日受診OK/十条駅徒歩1分
よくあるご質問
慢性化させない早期対応を
腰痛は早期に適切な治療と生活改善を行うことで慢性化を防げます。「そのうち治る」と放置せず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。





