関節痛とは
関節痛は日本人の多くが一度は経験する症状で、原因疾患は数十種類にも及びます。単なる筋肉疲労から、関節リウマチ・変形性関節症・痛風・感染性関節炎など早期治療が必要な病気まで幅広く、正確な鑑別が大切です。
当院では内科の視点から全身疾患の関与を評価し、関節単独の問題であれば整形外科へ、全身性の炎症性疾患であれば膠原病専門医へと適切に連携します。
「歳のせい」で片付けないで
関節痛には治療で大きく改善する疾患が多くあります。関節リウマチは早期治療で関節破壊を食い止められ、痛風は発作を薬でコントロールできます。「そのうち治る」と放置せず、一度原因を調べましょう。

関節の痛みは何科を受診すればいい?
単関節の外傷や機械的な痛みは整形外科、複数の関節が痛む・全身症状を伴う場合は内科が適します。当院は内科として、関節リウマチ・膠原病・痛風などの全身疾患を血液検査で評価し、関節単独の問題は整形外科、確定診断後のリウマチはリウマチ専門医へと連携します。「どちらに行けばいいかわからない」ときも、まずご相談ください。
関節痛の主な原因
炎症性(要早期治療)
| 疾患 | 特徴 | 好発部位 |
|---|---|---|
| 関節リウマチ(RA) | 朝のこわばり(1時間以上)・左右対称・多関節 | 手指・手関節・足趾 |
| 痛風発作 | 突然の激痛・発赤・熱感、夜間〜明け方 | 足の親指付け根が最多 |
| 偽痛風 | 高齢者、ピロリン酸カルシウム沈着 | 膝・手関節 |
| リウマチ性多発筋痛症 | 50歳以降、両肩・腰の朝のこわばり | 肩・股関節周囲 |
| 反応性関節炎 | 感染後の関節炎 | 下肢の大関節 |
| 感染性関節炎 | 高熱・強い局所炎症、緊急 | 単関節 |
| 乾癬性関節炎 | 乾癬+関節炎、指の腱付着部炎 | 手指・足趾・脊椎 |
| 強直性脊椎炎 | 若年男性、腰背部痛・朝のこわばり | 仙腸関節・脊椎 |
| SLE(全身性エリテマトーデス) | 若年女性、関節炎+皮疹・全身症状 | 多関節 |
非炎症性(変性・使いすぎ)
| 疾患 | 特徴 | 好発部位 |
|---|---|---|
| 変形性関節症 | 加齢・肥満・使いすぎ、こわばりは30分以内 | 膝・股・指DIP関節 |
| 腱鞘炎 | 使いすぎ、局所の圧痛 | 手関節・親指(ドケルバン) |
| 筋・腱付着部炎 | 反復動作 | 肘(テニス肘)・かかと(アキレス腱) |
| 骨折・捻挫・脱臼 | 外傷 | 受傷部位 |
| ばね指 | 指を曲げ伸ばししにくい | 指 |
その他・全身性
- 線維筋痛症(全身の広範な痛み)
- 甲状腺機能の異常(関節痛・こわばり)
- 血液疾患(白血病等の骨痛)
- 悪性腫瘍の骨転移
- 薬剤性の関節痛(スタチン・アロマターゼ阻害薬等)
関節痛の特徴から原因を絞る
痛みの部位
| 部位 | 疑う疾患 |
|---|---|
| 単関節(1か所) | 痛風・感染性・外傷・偽痛風 |
| 多関節・左右対称 | 関節リウマチ・SLE・薬剤性 |
| 手指のDIP(指先) | 変形性関節症(ヘバーデン結節) |
| 手指のPIP・MCP(中枢側) | 関節リウマチ |
| 足の親指付け根 | 痛風 |
| 大きな関節(膝・股) | 変形性関節症 |
| 脊椎・仙腸関節 | 強直性脊椎炎・変形性脊椎症 |
こわばりの時間
- 朝1時間以上続くこわばり:関節リウマチ・リウマチ性多発筋痛症を疑う
- 30分以内で改善:変形性関節症
- 使うほど悪化:使いすぎ・変性
- 安静で悪化:炎症性疾患
随伴症状
- 発熱 → 感染性関節炎・SLE・リウマチ熱
- 皮疹 → SLE・乾癬性関節炎・ウイルス感染後
- 口内炎 → ベーチェット病
- 眼症状(ぶどう膜炎) → 強直性脊椎炎・若年性リウマチ
- 手指のしびれ → 手根管症候群・頸椎症
- 突然の激しい関節痛 → 痛風
関節リウマチについて
関節リウマチは自己免疫により関節が炎症・破壊される疾患で、日本の患者は約60〜100万人と推定されています。30〜50代の女性に多く、早期治療で関節破壊を防げる時代になりました。
関節リウマチの典型症状
- 朝のこわばり(通常1時間以上)
- 手指・手関節・足趾などの多関節の痛み・腫れ
- 左右対称性
- 疲労感・微熱・体重減少
- 進行すると関節の変形(スワンネック変形等)
診断・治療
- 血液検査:RF(リウマチ因子)、抗CCP抗体、CRP、血沈
- 画像:レントゲン・関節エコー・MRI
- 治療:メトトレキサートが第一選択、効果が不十分なら生物学的製剤やJAK阻害薬などへ
- 早期治療:発症から6か月以内の治療開始が予後を大きく変える
当院の役割
当院では疑いの評価(血液検査・画像の判定)と初期対応を行い、確定診断後はリウマチ専門医と連携して継続管理します。メトトレキサート導入後の全身管理や副作用のモニタリングは当院でも対応可能です。
変形性関節症について
加齢や使いすぎによる関節軟骨のすり減りで起こる、最も多い関節疾患です。60歳以上の過半数に何らかの変化があるとされます。
好発部位と特徴
| 部位 | 名称・特徴 |
|---|---|
| 膝関節(変形性膝関節症) | 最も頻度が高い。立ち上がり・階段で痛み |
| 股関節(変形性股関節症) | 鼠径部・大腿前面の痛み |
| 指(DIP関節) | ヘバーデン結節 |
| 指(PIP関節) | ブシャール結節 |
| 母指CM関節 | 親指の付け根の痛み・変形 |
| 脊椎 | 変形性脊椎症・腰椎症 |
治療の選択肢
- 減量・筋力強化・運動療法
- アセトアミノフェン・NSAIDs
- 外用NSAIDs(副作用が少ない)
- ヒアルロン酸の関節内注射
- ステロイドの関節内注射(頻繁な使用は避ける)
- 重症例は人工関節置換術(整形外科へ紹介)
痛風について
詳細は「痛風・高尿酸血症」のページをご参照ください。以下は概要です。
- 足の親指付け根の突然の激痛・発赤・熱感
- 夜間〜明け方に発症しやすい
- 尿酸の結晶が関節内に沈着
- 発作時はNSAIDs・コルヒチン
- 慢性期は尿酸を下げる薬で尿酸値を6.0mg/dL未満に
こんな症状は一度ご相談を
- 関節痛が2週間以上続く
- 朝のこわばりが30分以上続く
- 複数の関節が左右対称に痛む
- 関節の腫れ・熱感がある
- 発熱を伴う
- 原因不明の体重減少・倦怠感を伴う
- 皮疹・口内炎・眼症状を伴う
- 急な関節の激痛(痛風発作の疑い)
- 階段や立ち上がりで膝が痛い
- 手指がこわばる・痛む
当院での診察・検査
問診
- 痛む関節の部位・数・左右対称性
- 発症時期・持続期間・日内変動
- 朝のこわばりの時間
- 外傷の有無
- 発熱・皮疹・全身症状
- 既往歴・家族歴(リウマチ・乾癬等)
- 服用中の薬
検査
| 検査 | 目的 |
|---|---|
| 血液検査(CRP・血沈) | 炎症の有無 |
| リウマチ関連(RF・抗CCP抗体) | 関節リウマチのスクリーニング |
| 尿酸値 | 痛風の評価 |
| 抗核抗体 | 膠原病のスクリーニング |
| 肝腎機能 | 治療薬選択の参考 |
| 胸部レントゲン | 関節外の所見・全身状態 |
| 関節レントゲン | 骨破壊・変形の評価 |
紹介が必要な場合
- 関節リウマチ確定診断後の継続治療 → リウマチ専門医
- MRI・関節エコー・関節液検査 → 整形外科
- 人工関節置換術の適応 → 整形外科
- 膠原病・SLE → 膠原病専門医
- 感染性関節炎の疑い → 緊急受診(整形外科・感染症科)
自宅でできるセルフケア
急性期の痛みに
- 安静(患部の使用を控える)
- 冷却(炎症・熱感がある場合)
- 市販の鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)
- 外用の鎮痛薬(湿布・ジェル)
- サポーター・装具で関節を保護
慢性期の管理
- 適度な運動(ウォーキング・水中歩行・ストレッチ)
- 筋力トレーニング(関節を支える筋肉の強化)
- 減量(体重1kg減=膝の負担3kg減)
- 温熱療法(慢性期は温める)
- 関節に負担の少ない動作
- 適切な靴・インソール
栄養
- 魚介類(オメガ3脂肪酸)
- 野菜・果物(抗酸化物質)
- カルシウム・ビタミンD(骨の健康)
- 適正体重の維持
- 痛風予防にはプリン体・アルコールを控えめに
当院の関節痛診療の特徴
- 内科として全身疾患の評価(リウマチ・膠原病・甲状腺等)
- RF・抗CCP抗体・尿酸値・抗核抗体などの血液検査に対応
- レントゲンで変形性関節症の評価
- NSAIDs・アセトアミノフェン・外用薬の処方
- 関節リウマチは専門医と連携し継続管理
- 整形外科的処置(関節内注射・手術)は専門機関へ紹介
- 高尿酸血症・痛風の管理にも対応
- 予約なし・当日受診OK/十条駅徒歩1分
よくあるご質問
早期診断が治療の鍵
関節痛は原因によって治療法がまったく異なります。自己判断で湿布だけ貼って過ごさず、早めに原因を調べることが、後々の関節の健康を守ります。気になる関節の痛みがあればお気軽にご相談ください。





