「歩くたびに足の裏が針で刺されるように痛い」「足の裏や指の硬いところが厚く盛り上がってきた」「魚の目だと思って市販薬を使っているのに治らない」——足にできる硬いしこりには、魚の目(鶏眼)・タコ(胼胝)・ウイルス性のイボがあり、それぞれ原因も治療法も異なります。特にイボを魚の目と思い込んで削ると、かえって数が増えることがあるため注意が必要です。
当院(十条駅ハル内科・皮フ科クリニック)では、皮膚科で魚の目・タコを削る処置(保険適用)に対応しています。処置直後から歩くときの痛みが軽くなる方が多く、予約なしでも当日受診できます。痛みを我慢せず、お気軽にご相談ください。
魚の目とタコの違い
魚の目もタコも、皮膚の同じ場所に圧迫や摩擦が繰り返し加わり、体を守ろうとして角質が厚く硬くなったものです。両者の違いは、皮膚の奥に食い込む「芯」があるかどうかにあります。
|
魚の目(鶏眼/けいがん) |
タコ(胼胝/べんち) |
|
|
芯 |
中心に硬い芯があり、皮膚の奥(真皮)へ楔のように食い込む |
芯はない |
|
痛み |
芯が神経を圧迫するため、押すと鋭く痛む |
ほとんど痛まない(厚くなりすぎると痛むことも) |
|
見た目 |
中心に芯(目のような点)が見える |
広い範囲が平らに厚く硬くなる |
|
できやすい場所 |
足裏の付け根、足の指の間・背など骨ばった部分 |
足裏、かかと、ペンだこ・座りだこなど全身 |
魚の目の芯は、歩くたびに奥の神経を刺激するため、画びょうを踏んだような痛みを生じます。タコは面で硬くなるだけなので通常は痛みませんが、厚くなりすぎるとひび割れや痛みの原因になります。
魚の目・タコができる原因
根本的な原因は、特定の場所に繰り返し加わる圧迫と摩擦です。皮膚が自分を守ろうとして角質を厚くした結果できます。
-
サイズの合わない靴(きつい靴・先の細い靴・ハイヒール)による圧迫
-
大きすぎる靴の中で足が動くことによる摩擦
-
外反母趾・開張足・浮き指など、足の変形による荷重の偏り
-
長時間の立ち仕事・歩行
-
加齢による足裏のクッション(脂肪)の減少、皮膚の乾燥
イボ(ウイルス性)との見分け方——ここが最も大切
魚の目とよく間違えられるのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)による「ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)」です。見た目が似ていますが、原因がウイルスなので治療法がまったく異なります。魚の目のつもりで削ると、ウイルスが周囲に散らばって数が増えてしまいます。
|
見分けるポイント |
魚の目・タコ |
イボ(ウイルス性) |
|
原因 |
圧迫・摩擦(物理的刺激) |
ウイルス感染 |
|
黒い点 |
なし |
削ると黒い点々(毛細血管)や点状出血が見える |
|
できる場所 |
荷重・摩擦がかかる場所のみ |
荷重のかからない所にもできる。手や子どもの足にも |
|
皮溝(皮膚の線) |
保たれる |
イボの部分で途切れる |
|
うつるか |
うつらない |
人にうつる・自分の体でも広がる |
ポイント:「魚の目がなかなか治らない」で受診される方の一部は、実はウイルス性のイボです。判断に迷う場合や、市販薬で改善しない場合は、削る前に一度受診してください。イボであれば液体窒素による凍結療法など、別の治療を行います。
当院での治療——削る処置(保険適用)
魚の目・タコは角質内の病変なので、厚くなった角質と芯を、表皮ぎりぎりで薄く削り取ることで治療します。通常、レーザーや手術(切開・縫合)は必要ありません。
|
治療 |
内容 |
|
角質・芯の切削 |
メスやコーンカッター、グラインダーで硬い角質・芯を削ります。角質自体に神経はないため、処置の痛みはほとんどありません |
|
外用薬の併用 |
角質を軟らかくする尿素配合軟膏やサリチル酸の貼り薬を併用することがあります |
|
再発予防の指導 |
靴・インソールの見直し、除圧パッドの使い方をアドバイスします |
|
イボの鑑別 |
イボが疑われる場合は凍結療法など適切な治療に切り替えます |
多発している場合は、一度にすべてを処置できないことがあります。処置にお時間がかかるため、当日の混雑状況によっては数回に分けてのご案内となる場合があります。
費用の目安(保険診療・3割負担の場合)
魚の目・タコの処置は保険適用です。処置の内容によって費用が変わります。以下は3割負担の場合のおおよその目安で、別途、初診・再診料や処方があれば薬剤費がかかります。
|
処置内容 |
目安(3割負担) |
|
小さな魚の目・タコを削るのみ |
約500〜1,500円程度 |
|
芯まで切除する場合 |
約2,400円〜 |
|
切除して縫合を伴う場合 |
約4,800円〜 |
数や部位によって変動します。正確な費用は診察時にご説明します。
放置するとどうなる?
痛みを我慢して放置すると、次のような問題につながることがあります。
-
痛みをかばう歩き方になり、膝痛・腰痛・姿勢の乱れを招く
-
芯が深くなり、削っても痛みが取れにくくなる
-
まれに、刺激で「滑液包炎」を起こして赤く腫れることがある
-
糖尿病・血流障害がある方は、傷から感染し潰瘍・壊疽に進む危険がある
ポイント:糖尿病の方・足の血流や感覚が低下している方は、自分で削る・市販薬を使うことは絶対に避けてください。小さな傷から重症の感染(糖尿病足病変)に進むことがあります。必ず医療機関で処置を受けてください。
よくある誤解——「芯を取れば再発しない」は誤りです
インターネット上には「芯を完全に除去すれば二度と再発しない」という情報が見られますが、これは正確ではありません。魚の目は、その場所に圧迫・摩擦が繰り返し加わった結果できたものです。芯をきれいに取っても、原因となる刺激(合わない靴・歩き方の癖・足の変形)が続く限り再発します。治療とあわせて、除圧・靴の見直しなどの再発予防を行うことが何より大切です。
魚の目の芯を自分で引っこ抜くのはNG
「毛抜きやピンセットで芯を引っこ抜きたい」と考える方は多いですが、おすすめできません。芯は皮膚深部まで食い込んでおり、無理に抜くと出血・細菌感染・かえって深くなる原因になります。特に糖尿病のある方は足の傷から重い感染症に進行するリスクがあります。皮膚科では専用の器具で痛みなく安全に芯を除去できます。
市販薬(スピール膏など)を使うときの注意
サリチル酸配合の市販薬は、正しく使えば軽いタコや浅い魚の目に有効です。ただし注意点があります。
-
貼る範囲が広すぎると、健康な皮膚まで白くふやけて傷んでしまう
-
ウイルス性のイボに使うと、密封によってかえって悪化・拡大することがある
-
芯が深い魚の目は、市販薬だけでは根本的に治らないことが多い
2〜3回使っても改善しない、痛みが強い、患部が赤く腫れている場合は、自己処理を続けず受診してください。
再発を防ぐセルフケア
-
つま先に1cm程度の余裕があり、足の形に合った靴を選ぶ
-
先の細い靴・ハイヒールを履く時間を減らす
-
インソールや除圧パッドで、圧のかかる場所の負担を分散する
-
入浴後に保湿クリームを塗り、角質を軟らかく保つ
-
外反母趾など足の変形がある場合は、整形外科的な評価も検討する(当院は整形外科医も在籍)





